シルバーウィーク前の金曜日。

今日出勤すれば連休だ。

 

朝9時20分。ここで副都心線に乗り換える。

渋谷駅についた瞬間からお腹の調子がおかしい。これは持って10分だろう。

 

ぎりぎりになってしまうが、9時30分台の電車でも間に合う。OK。トイレに駆け込もう。シルバーウィーク前に電車で脱糞してしまうことは許されない。

 

副都心線と東横線のトイレは比較的綺麗だ。出勤を控えた人間で混雑している。

おっと、前に二人並んでいる。

すでに使用している人を含めると5人が便意と戦っている。

 

サラリーマンのお腹は弱い。多くの男性が毎日下痢と戦っている。そうだ。俺たちは同志だ。つらい日本社会に揉まれながら、朝の貴重な時間ですら下痢に奪われている。

その気持よくわかるよ。さあ、さっさと排便を済ませ今日も一日頑張ろうじゃないか。

 

そう考えていたら時計は9時30分を差そうとしていた。

ん?俺が並んだのは9時20分。もう、10分も経っている。

肛門も液状の便が括約筋くぐり抜け、決壊しそうだ。

 

ふつふつと怒りが湧いてくる。まだ誰一人出てこない。なぜだ。

 

「時は金なり」

 

ビジネスマンにとって時間は貴重だ。日本の有数の都市、渋谷にいる人間なら全員そうわかっているはず。まして会社出勤前なんて鉄火場に決っている。そんな悠長に排便を楽しみたいなら、オシャレなカフェでも行っていろ。

 

9時33分ようやくドアが空いた。既に結界寸前の私は3分でこいつをやっつけようと思った。

そして私の前にいた悠長な排便野郎どもに手本を見せてやろう。

いいか。よく見ておけよ。

 

居合い斬りの要領でパンツを下ろした瞬間、着座するのが先か、排泄が先かのタイミングで終わらす。

パンツを下ろした手はすぐにトイレットペーパーに持って行き、そのままおしりを拭く。極めてスムーズ。この所作に一切の無駄がない。侘び寂びの境地だ。

 

しかし、無常にも電車に乗り遅れ遅刻。

 

遅れることがほぼ確実な移動中に会社への連絡と、こいつらは朝の渋谷駅で悠長にうんこをしているから日本経済は低迷するんだとふつふつと怒りが湧いてきた。

 

こんな輩がいるから駄目なんだ。もう駅の便所は5分以内に終わらす法案を安保よりも先に通してほしい。福島弁で言うとあっぽ法案。

 

安倍晋三もお腹の病気で苦しんでいたんだから。